さて、気を取り直して観光。近郊の農村で市が立つ日だそうである。朝食を食べたウィグル人のめし屋でその村の名を聞く。Laashuqui(ラーシュクイ)と聞こえた。街の中心からバスが出るそうだ。
そこへ行くのは街で昼食をとってからにすることにして、まずはホータン名物の絨毯工場へ行く。相棒が「工場にしては静かやなあ」とマヌケなことをぬかすが、当たり前だ。手織りに決まっとろうが。手織りだから価値が高いの。機械織りで良ければ天津の大量生産ものを買ってなさい。
体育館のように大きな建物の中で、幾つも並んだ織り機に女性たちが向かい合い、一心に絨毯を織っていた。私達が香港から来たと告げると、責任者の女性が別館入れてくれた。そこでは香港返還式典に間に合うように織らせている巨大な絨毯を一対織っている最中で、一枚は地が白、一枚は臙脂で、どちらも新疆に住む13の民族が並んで踊る姿と、白地のものにはウィグル語、臙脂のものには中文で、「祝賀香港特別行政区成立」と書いてある、そうだ。私達にはもちろんウィグル語の方は読めない。
元のデザインでは「祝賀回復主権」だったそうなのだが、その後「祝賀香港特別行政区政府成立」と変更になり、しかし「政府」と漬けると北京と香港に二つ別個の政府があるようでまずいということで、最終的にこのデザインになったのだという。そのせいで制作が遅れ、今頃まだ織っているんだと責任者は笑った。私達が写真を取ろうとすると、他の絨毯は問題ないが、これだけは完成して香港に送るまで機密扱いなので遠慮してください、と断られた。私たちはいずれ湾xのコンベンションセンターでこの絨毯に再会できるのだろうか。
さて、食事をとってラーシュクゥイへ。大変な賑わいだ。羊、ヤギ、牛、ロバ、馬などの売買で人々は忙しい。なぜか私達を見て人々が「パキスタン!パキスタン!」と騒ぐのがおかしい。相棒がパキスタン人とは、いくらなんでも無理があると思うのだが。やはり長く伸ばした山羊ヒゲのせいだろうか。最近どこへ行っても漢人とは思ってもらえない。
タクシーもロバタクも非常に安く、タクシーなら市内どこでも5元ほど、ロバタクは一人1元。短距離なら二人で1元。