***このブログについて***

書き続けている日記のうち、旅行記をここにまとめておきます。右サイドメニューの「その他の旅行」から各旅行の目次に飛べます。サイドメニューの下のほうの「痩公胖婆400天渡蜜記」は、一年と少し(1996/03/31 - 1997/06/01)にわたった新婚旅行の記録の目次です。気が向いたときにぼちぼちあげています。

2019年6月30日日曜日

Day 08 狭軌鉄道 集集線

台中では金曜と土曜には安宿が倍ほど値上がりするようで、今回の旅で最も満足のいかない宿に投宿中。ぷんすか怒っていたら、朝メシが豊富だったのでワシはいきなりすべてを赦す。この世は美しい。生きていることは素晴らしい。こういう物が食べたいなあという、台式小菜が並んでいた。(盛り付けがきちゃなくてスマヌ。食欲が勝った)


石蓮花ってなんじゃろ。


冬瓜ジュースなんてのは、香港では聞いたこともない。



されお出かけ。バスを待つ。左から医療検査所、入れ墨屋、アキバ系中古模型買取屋。入れ墨屋、よく見ると無痛入珠とある。ほんまに無痛で入るんか。なんの気無しに「無痛入珠」で検索したら、子供が聞いてくるから通学路にその看板を出すのはやめてくれという台湾の保護者から申し立てのニュースがあり、ちょっとワロタ。



第二市場を参観。日曜なので六角楼には入れなかった。



台中市内をぐるっと一周するバスが出ている。



今日は市内観光と思っていたが、街が暑すぎるのでバスに乗ったり降りたりするのはやめて、近郊の町行きの中距離バスに乗ることにする。水里というところ。



同じ道を往復するのもアレなので、帰りは別の道をと検索したら、水里には台鉄の支線の駅があって、また列車に乗れることがわかって鉄子嬉しい生きててよかった。線路と平行に走ったり踏切を超えたりしつつ、一時間ほどで水里到着。





市場を逍遥、川べりで昼メシ代わりに鳳梨(菠蘿)を食う。品種と味の特徴を教えてもらった。





駅~~~!駅!駅!駅!









駅舎の裏側。



この線は集集線という狭軌鉄道、水里の先の車埕が終点。


ということはここから起点の二水に帰ると、私は集集線を一区間だけ乗り残すことになってしまうのだ。それはイヤだという鉄乙女心を夫に訴え、まずは車埕行きの列車に乗った。忘れてた。今日日曜や。人一杯や。降りんとこ。



というわけで区間車「田中」行きとなってそのまま折り返す。



二水到着。特になにもない小さな町だが、駅近くの公園に火車頭があった。





大雨なので傘を持っている私だけが見に行った。夫、なんぼ言うても傘を買わん(台中で買ってその日のうちに無くしたので意地になっとる)。





駅の旅遊中心の女性に強力オススメされた水煎包。おいしかった。


この旅遊中心の女性に阿里山は行かないのかと聞かれ、夫が人が多いから…と答えると「誰說的?誰說的?誰說的?啊!?」とめちゃめちゃ辣な口調で返されて夫タジタジ。もちろん意地悪なのではなくて、ちゃきちゃきの口調の彼女は書類棚の奥をゴソゴソ探して、旅行者が訪問できそうな阿里山の原住民部落の資料をどっさりくれた。次回への宿題とする。

さて二水ではもうひとつあったこと。私は傘を持っているが夫は持っていない。駅へ帰る道で土砂降りになり、しかし列車の時間は迫る。「私はゆっくり歩いて帰るから、あなた雨足の合間を見て走ってきなさい」と言い残して駅に向かう。駅の待合室で(次の列車には乗れんかもな…)と思いながら夫を待っていると、傘をさした夫が帰ってきた。とうとう買ったのかと思いきや、傘は古ぼけている。なんと、軒下を借りていた洋品店の女主人に傘は売っていないのかとたずねたら、「商品はないがこの傘をお持ちなさい。古い傘だが駅までは使えればいいから」と、折りたたみの傘を頂いたというのだ。

それがこの、香港に帰った夫が修理中の傘だというわけです。あまりにも感動したので、この傘は吉祥物に違いないといい出し(それもどうかと思う)、一人で山歩きをするときのお守りに持っていくのだとか。そして台湾がよすぎていきなり台湾シンパになったスナフキン夫。





傘の件で感動しつつ、首尾よく狭軌鉄道に乗れたしやわせな気分で台北行き列車に乗り換える。途中でふと思いついたのが、「途中下車したら先日見逃した扇形車庫を参観できるのでは…」 鉄悪魔の囁きである。彰化で降りたら、20分の差で閉まっていた。うっうっうっ。メシだけ食って帰る。

昆布でダシをとった海鮮泡飯


いろんなのが入ってた


これは麺ではなく、たけのこを細切りにしたものなのである。


けっこういいサイズのとこぶし。



駅に戻り、北上するやつならどれでもいいんだろうと、来た列車に乗る。自強号である。空いてる席に適当に座ってみたけど、ええんかこれ。特急券とかいるのかな。



Google Mapで移動を確認していて気がついた。この列車、台中経由せんがな!えらいとこまで行ってまうがな! 気付いたのが早くて出血は最小限で済んだが、沙鹿から一時間かけて鈍行で台中に戻る。楽しい。(鉄子なので)




台中帰ったら日が暮れた。



遅くなったけど、台中駅裏の林信一福堂まだ開いてた。私はここの土鳳梨酥がちょっと酸っぱくて好き。



「パイナップル本来の繊維ガモサモサって感じます」ガモサモサとは。





レモンパイを買おうかと思ったが、箱が大きくてかさばるので箱の小さな芒果酥にした。ひとつ味見。ちょっと甘いかな。しかしこれは会社に持っていったら土鳳梨酥より好評であった。見た目もチャイニーズ好みなので、贈答品によいのかも。(越後屋、ぬしも悪よのう的な見た目である)



2019年6月29日土曜日

Day 07 廬山温泉と廬山部落

さて移動。またしても自強號。えへえへ。



そしてさようなら鐵道大飯店。洗濯機と乾燥機があったので、この宿を旅程の真中に挟んどくと着替えが半分で済んでいいかも。



いやあ~、明るい朝見てもやっぱええよな~台南駅の切符売り場。そして列車を待ちながら食うおにぎり。





台湾の台の字は、新旧どちらも許容されるのですね。香港の湾仔の湾の字みたいなもんか。





彰化で行けなかった扇形車庫に思いを馳せつつ、台中到着。本日はどこに行くかと言うと、



この6899番なのですわ。そして最終目的地はどこかというと…



じゃーん。こちら。ついったで拝見した香港在住の方の写真が素敵で、私も行ってみたくなりましたの。スナフキン夫に見せるとやつも乗り気に。まずは埔里まで行き、そこから廬山温泉行きに乗り換えです。自強号台中着8:40、バス台中発9:10、10時半ごろ埔里到着、温泉行きバスは11:25発でした。








いやその前に、台中→埔里のバスで見た「看不見的台灣」についても書き留めとこう。一部をチラ見しただけで、あまりの台湾みに目が釘付けになった。香港とはぜんぜん違う文化、風俗、人情。





正港與神同行!《看不見的台灣》
https://www.marieclaire.com.tw/lifestyle/movie/36557?atcr=66b619


鄭成功を祀る台南鹿耳門鎮門宮の宮守りが、鄭成功が「原住民に謝りたい」と告げる夢を何度も見る。鄭成功は台湾に攻め入ったときにこの鹿耳門の河口から水軍で入り、現在の台南と安平を攻め落とした際に、反抗する原住民を虐殺したのだとか。

台南鹿耳門鎮門宮主委:國姓爺託夢 願向原住民道歉
https://www.chinatimes.com/newspapers/20160811000598-260106?chdtv

鎮門宮和解法會 谷暮缺席
https://www.chinatimes.com/newspapers/20160815000447-260107?chdtv


鹿耳門鎮門宮は原住民を招いて謝罪のための法会を執り行ったが、この法会が逆に原住民(西拉雅族)の逆鱗に触れてしまう。鎮門宮の招いた原住民の宗教団体が(鄭成功に虐殺された)西拉雅族ではなく、服装や儀式・法器・用語も西拉雅族のものではなかったというのだ。

鎮門宮替鄭成功辦法會道歉 原民:找神棍團體亂搞
https://www.chinatimes.com/realtimenews/20160816004190-260405?chdtv

鹿耳門鎮門宮のフェイスブックが炎上(現代的ですね)、宮守りの男性は意気消沈してしまう。そこで西拉雅族の神である阿立祖をおろせる霊媒と、鄭成功をおろせる霊媒とその通訳者の三人が集まり、お互いに話し合って理解を深め、

《看不見的台灣》一窺通靈民俗,媽祖國姓爺阿立祖眾神明背後指導
https://www.marieclaire.com.tw/lifestyle/movie/36557?atcr=5592a0

かつ、おろしてきた神様同士で話し合わせて再度の法会を執り行うという、そういう映画でした。何を言っているのか分からないと思うが、私もなんなのこれ…と呆然と見ていました。神降ろしや託言など、香港ではすでにほぼ失われた土着さがなんとも言えず興味深く。

【有雷影評】《看不見的台灣》看得見的溫暖
http://loory.tw/2018-06-16-89/

これで原住民問題の何が解決するとかは思えず、映画自体も漢人(って言うのかなあ台湾でも)の方にフォーカスした内容でちゃうやんそれとは思うので、主な感想はこのなんとも言えないVery Taiwanな味。特に興味深かったのが普段は主に「九皇子」を下ろすという女性。

記者大膽問通靈阿姐:九皇子在嗎? 答案讓人大吃一驚
https://stars.udn.com/star/story/10091/3207165


いやほんで更に驚いたのがこの女性、口寄せとか霊媒が本業ではなく、普段は何やってるかと言うとなんと公務員なんですってよ!こうむいん!しかも裁判所! 平日の身分は「最高法院檢察署會計室主任」なのだそうです! この台湾みの味わい深さに私は完全にやられた…

【上報人物】神界接訊人 林寶貴第二人生
https://www.upmedia.mg/news_info.php?SerialNo=42742


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さてさてそれでは、南投縣の山の中に戻ります。左の埔里から、右の廬山温泉へ向かいます。



これはおやつの鴨腎、10元。バス待ちの間に、鶏を半隻買ってバス停で手づかみで食べました。



来たのは普通の大きなバスで、風光明媚な山道を登ります。





一時間ちょっとで到着。わーい、吊橋だあ。吊橋からみる両側が、他所の国に来てるとは思えないほどの既視感。ちなみにこの吊橋の定員は30人。









廬山温泉の元の名前はMheub(馬赫坡)で、霧社事件の指導者であるMona Rudoは、この部落の頭目であったそうです。







景色を眺めながら道を歩いていたら、ミニバスが通り過ぎていった。あれはひょっとして廬山温泉で客を降ろし、本道との分岐まで帰ってきて更に山の上の廬山部落までいくやつでは。


急いで時刻表を調べ、どうやらそうらしいと見当をつけ、かつその便が泊まりではなく折り返すというところまで確認してから、バスが戻ってくるのを待って乗車。廬山部落は温泉よりもだいぶ上の方にあった。





奥の方に見えている富士商店で、この村のお茶を半斤買いました。



バスの折返しの関係から、滞在時間はわずか15分。



霧社で途中下車して散策。海抜1,148m。日本人には複雑な感情を抱かざるを得ない地名です。






日の暮れる前に台中に帰ろうとバスに乗り、ホテルを検索するも、週末なのでどこも倍額。ぎゃっ。適当に妥協して投宿、第二市場でおいしくご飯を食べて、パン屋で見かけた牛乳を飲んで本日は終了。