朝までかかって「光の王」、読了。満足。
歩いてダムサイドへ行く。レイクサイドよりも静かである。土産物屋もあまり見当たらず、旅行会社もなく、客引きの「ナマステー」もない。そのかわりにめし屋もあんまりないので、食事には不便なのであった。
ポカラはレイクサイドとダムサイド以外が道も舗装されていないような田舎で、市の中心部以外は「村」であった。散歩にはとてもよい。
しかしなぜだろう。私はこの静かで居心地良いネパールを早く逃げ出したくてしょうがない。この国とは合わない。自分でも何故かはわからない。多くの人にとってここは楽園か、すくなくとも長期滞在にもってこいの場所なのに。多分私はもっと「旅」がしたいのだ。もっと緊張と忍耐を強いられるような、そしてやはり「移動」をともなった、旅。
私はインドに行きたくてうずうずしている。私は多分インドで、緊張と忍耐にも関わらず、数多くの痛い目に合うだろう。それがむしろ楽しみで仕方がない。気の毒なのは相棒で、この人は明白に、極めて明白に行きたがっていない。むしろ、帰りたがっている。私は何度も帰れと勧告したのだが、この人の感覚では私をインドにやって自分は香港に帰るというのは不可能だ。で、仕方なく私についてくる。私を守るつもりで。正直に言うと、私には重荷だ。
今日、国境行きのチケットを買った。
ここまで書いたところで、明日早朝のバスに乗るべく今夜のうちに支払いを済ませておこうとしたら、来たよ来た来た、150ルピー/泊のはずが220ルピーだと。値段を文書にさせておかなかったこちらが悪いと言えば悪いのだが、率直に言ってネパールの民宿でやられるとは思っていなかったので、油断した。五年前なら払っていただろうが、いまなんとか交渉に持ち込むガッツと能力があるので、険悪な話し合いの末に150+10%の165ルピー/泊で決着をつける。インドへの序曲としてはまずまずだ。
と、ひさびさに嬉しくなってきたところでふと相棒を見ると、手が震えている。どうした?額を触るとなんてこと、高熱だ。歯の根が合わないほどの悪寒に震えているのだ。すぐにベッドに入れ、まず胃の保護薬を飲ませ、それからイブプロフェンを飲ませた。様子を見て、数時間後にイブプロフェンをもう1錠追加、それから枕元に白湯と薬を置いて眠る。