12時間の深い眠りの後に目覚めると、本日は陰暦の大晦日。こういうのを中国語では像豬一樣睡覺(豚のようにいぎたなく眠る)と言う。起床、昨日の果物を食べきってから、昨夜おいしかったヴェジタリアンレストランで朝食をとる。やはりダヒー(ヨーグルト)がおいしい。ネパールのヨーグルトは水のようで、私には物足りなかった。
ルンピニーまでバスで一時間、10ルピー。バスを降りるとEnquiryがあり、聞いてみた。宿泊できる寺のうちのひとつである韓国寺はここから2キロもなく、徒歩で行けるということなので行ってみた。ドミトリー一室を二人で使わせてくださった。ほかには韓国人学生と、日本人旅行者がいた。部屋は簡素で清潔で、しかも一日中お湯の出るシャワー室があった。
ご住職が食事を提供してくださった。韓国料理は当然ながら日本食や中華と同じ文脈にある味なので、相棒が特に嬉しがった。とくに圧力釜で炊いた米の旨さときたら…。米はネパールの普通のお米だということだが、炊き方が違うだけでこうも味が違うとは。甘い。また、キムチや紫蘇など、この地では貴重なのではないかと思われる食材を、惜しげもなく振る舞っていただいた。感謝に耐えない。
さて、この地に来た目的のルンピニ苑に行く。淋浴池があり、ネパール寺とチベット寺が有り、どこにも属しないMahadevi寺院があったが、現在改修中で中には入れなかった。淋浴池のほとりには大きな菩提樹が有り、幹の根本に日本式の可愛らしい地蔵菩薩が鎮座していた。後に日本人旅行者から聞いたが、瀬戸内寂聴が日本から持ってきた地蔵なのだそうだ。
地蔵菩薩はインド系の参拝者が掛けるプジャという赤い粉でまっかっか、そして同じ参拝者が撒く米粒を食べに、菩提樹に住むシマリスが5~6匹ほども地蔵の周りに降りてきてきているのが可愛らしかった。どのシマリスも、鼻の先がまっかっかだ。近づくとみんな慌てて樹上に戻っていくのだが、1匹だけ大胆なやつがいて、近づいてもぽりぽり米を食っていた。
夕食をまた韓国寺でごちそうになる。というか、食事ができるところなどどこにもないのだ。夕食には日本のと全く同じ味噌汁と韓国海苔が供されて、日本の旅館に泊まっているような不思議な気分だった。私はご飯をおかわりしてしてしまった。食後にはコーヒーまで頂いたのだ。なんて豊かな一日だったろう。