***このブログについて***

書き続けている日記のうち、旅行記をここにまとめておきます。右サイドメニューの「その他の旅行」から各旅行の目次に飛べます。サイドメニューの下のほうの「痩公胖婆400天渡蜜記」は、一年と少し(1996/03/31 - 1997/06/01)にわたった新婚旅行の記録の目次です。気が向いたときにぼちぼちあげています。

1997年2月7日金曜日

旧暦元旦に鹿を見る

早朝5時に目が覚め、寺の周囲に散歩に出る。森を切り開いただけのような、何もない土地である。朝霧の中に鹿が二頭現れ、草をはんでしばし後にゆっくりと去っていった。息を詰めてそれを見送りながら気がついたが、今日は旧暦の元旦だ。一年の始まりの日に、釈迦が生まれた場所で、釈迦の第一の弟子を見かけたとは。今年もいい年だといいな。

早朝の読経に参加。いいお声でした。朝食は豆ごはんで、匂いを嗅いだだけで芳しさのあまり涙が出そうだった。ほうれん草のおひたしにごまとごま油をふったもの。なすびの炊いたの。卵の白身の部分だけを蒸したもの。すまし汁。

私達はこのとき経済的にとても切り詰めた旅行をしていたので、宿坊代としてごく普通の額のお布施しかできなかったのだが、いつか余裕ができたときに何らかのご恩返しをしたいと折りに触れ夫婦で語りつつ、今に至る。いつか、きっと。ご住職のお名前は覺賢法信(Gak Hyun Bub Sin)とおっしゃいました。


さて出立。バスでバイラワに戻り、国境のスノウリ行きのバスをキャッチ。20ルピーを渡すと、10インドルピーが帰ってきた。国境ではインドルピー100に対し、ネパールルピー160.40のレートだった。のどかな国境を越えてインド側へ。きわめて順調に通関を済ませ、ゴラクプル行きのバスに乗る。30ルピーのミニバスと、35ルピーのバスがあり、大きな方のバスに乗った。二時間でゴラクプル到着、私はバスの窓からの風に吹かれて熱が上がり始め、あわててゴラクプルでみかんを3つ買いもとめ、そのまま路上でふたつ食った。

ゴラクプル→クシナガルのバスの上では風に当たらず、しかし太陽の当たる席で三十分、ぐうぐう眠ったら治った。しかしでかいみかんだったので二時間後のクシナガル到着時には猛烈にトイレに行きたくなり、しかしインドは中国とはちがってバスターミナルに使えるようなきちんとしたトイレが必ずしも提供されているとは限らないので、まあどういうことかというと、白昼のまちなかで物陰を探して用を足した。もはや達人なので動じない。落ち着いたものである。

さて、中国寺へ行ってみるも、漢字は書いてあるが、なんだか妙な中華寺だ。ベトナム語とかヒンディーとかでも何かいろいろ表示があり、そして中国語を話せる人が全くいない。宿坊は300ルピーとかなり高め。

隣のミャンマー寺に行く。隣室とトイレが共同のツインがあり、簡素だがまあまあ清潔。おいくらですかと尋ねたら、お好きなようにとのこと。ありがたく泊まらせていただく。でもここも中国寺と同じで、ミャンマー人はいないようだ。宿泊客はスリランカの僧侶団と、チベットからの巡礼家族。管理人のインド僧は、夜に部屋まで数珠と仏像を売りに来た。クシナガル自体も、ルンビニの静寂とはまったくちがい、人の多いざわざわした街である。