9時、朝食をとってSapa周辺の村めぐり散策に出発。合計12キロ程を歩くことになる。途中、黒モン族の村2つ(Y LINH HO、LAO CHAI)と、ザオ族の村(TA VAN)をひとつ経由する。昨日と同じ黒モン族の女の子が案内してくれた。下りばかりが続くので楽ちんな行程だ。
モン族は中国では苗族に相当し、人口も多く、幾つもの支族に分かれている。Sapa周辺に住むのは黒モン族、明日行くPac Ha周辺に住むのは花モン族。黒モン族は黒をベースにした民族衣装に緑の刺繍を施し、緑のターバンをかぶった女性が多いが、年配の人は黒の円柱形の帽子の人もいた。花モン族は衣装全体にピンクや赤主体の細かい刺繍をいっぱいに刺している。
ザオ族は中国では瑶族だ。黒の衣装に赤のターバンや襟飾りをつけていることが多い。中国文化の影響が他の民族よりも大きく、漢字を使った正書法があると聞いた。
まずは車道を歩いてチケットオフィスまで。そこから脇の山道に入り、谷を下ってゆく。景色はよろしいが天気に恵まれず、霞がかかっていて、クリアだとは言いがたい眺めであった。景色自体は雲南や広西の田舎とそっくりだ。谷の両側が棚田である。
昼食を黒モン族の村で。鶏肉、キャベツ、目玉焼きが白ご飯に乗ったプレートランチ。おやつはバナナ。ザイ族の村から車道に上がり、車で街の中心にまで戻ってきた。
街なかを歩く。銀行で両替してから、常設市場の中の乾物屋ではちみつひと瓶150K、蜜たっぷりの蜂の巣250K/キロ、375Kを350Kに値切って購入。しいたけ半キロ250Kも。小僧がおみやげ屋で120Kのパイプを70Kに値切りたおして買った。寒い上に湿度が高く、吐く息が真っ白なのでタバコを吸う真似ばかりしていて、欲しくなったのだという。
ぶらぶらと外を歩いていると、道端で少数民族の女性たちが同じようなはちみつを売っている。蜂の子がぽちぽちと詰まっている蜂の巣をひとかけら買って味見をした。50K。採取の際に燻して蜂を散らしたらしく、ひどくスモーキーな味だった。蜂蜜の方は小ぶりのひと瓶が70K。
赤ん坊を背負ったLao Chaiの黒モン族の女性があきらめずにずっと一緒に歩いてくるので、根負けして絵はがきセットを買う。50K。これはベトナムで印刷しているのか、中国側で印刷しているのかどちらだろう。
寒さに負けてレストランに入り、早めの夕食を取る。ジビエがあるという店で、猪と鹿を頼んでみた。正直良くわからない。小僧は食べ慣れないものは全くダメなので、マルゲリータを頼んだが、なぜか真ん中に卵がひとつ落としてある謎のピザが来た。Bia Lao Cai、マンゴージュースで435K。ピザはうまかったが、マンゴージュースは酸っぱくて渋かった。Bia Lao Caiもイマイチ。
腹7分目ぐらいの気分で宿に戻り、もういちど食事をしに食堂へ降りる。糖度の低そうな米と野菜と少量の肉というメニューなので、健康には良かろう。体を温めるために(口実)Tiger Beer(大)30Kなぞを飲む。
食後に再び街に出て、Love Marketとやらを見物することにする。要は歌垣で、歌ったり踊ったりして配偶者を見つける場が観光になっているというわけ。昼間におしゃべりをしたところでは、みなさん16歳ぐらいで結婚し、数年のうちに第一子を設けているようなので、13歳、14歳ぐらいになると結構真剣に相手を探し始めるのだとか。そう小僧(←13歳)に話すと、衝撃を受けていた。
このクソ寒いのに大した人出があるわけもなく、観光客の方が頭数が多いほど。10人ほどの黒モン族の少年たちが、大きな篳篥(ひちりき)のような管楽器を持って踊っていた。観光局のようなところのアレンジなのだろうなと思う。一人が踊りだすと他の少年たちも一斉に踊りだし、最後にはぐるぐる回って終わる。
女の子がひとり、傘を広げて意中らしい男の子の前に立ち、傘を回しながら自分も回り始めた。男の子が女の子が回るのに合わせて篳篥を吹くと、見物の歓声も高まった。小僧はけっこう可愛らしいところがあり、羨ましそうにそれをみて「いいなあ、いいなあ」と言うておりました。
一時間ほど見て、帽子が回ってきたので小銭を入れて帰ってきた。帽子を回していたのが全然関係なさそうなベトナム人で、集まったものを無造作に少年たちに渡して機嫌よく去っていったので、あの帽子って少年たちが自主的に回したもんではないような気がする。
ホテルに帰るとバスルームのお湯は全く出ず、今日の分は終わってしまったらしい。本日は風呂無しで就寝。蜂蜜の瓶を洗濯物でぐるぐるまきにして荷造り。明日は荷物を預けて、パックハーのサンデーマーケットを見に行くのだ。