***このブログについて***

書き続けている日記のうち、旅行記をここにまとめておきます。右サイドメニューの「その他の旅行」から各旅行の目次に飛べます。サイドメニューの下のほうの「痩公胖婆400天渡蜜記」は、一年と少し(1996/03/31 - 1997/06/01)にわたった新婚旅行の記録の目次です。気が向いたときにぼちぼちあげています。

2012年4月5日木曜日

day 07 シガツェへ移動

川菜館で稀飯(白粥)、ゆでたまご、包子(肉まん)を食す。二人で12元。タクって北郊汽車站(バスターミナル)を目指す。9時なのに9時半のバスが満員になったのでもう出たとのことで、次は10時。商業車(香港で言うVAN車)が客引きをしており、あと2席埋まったら出発するという。しかしこういう車は速度を出し過ぎるきらいがあるのであまり好きではないし、乗っている客が都市部の高等教育を受けた人間だったり、あるいは香港人だったりして、数時間も同乗していると私の身分がバレる可能性があるのでやめておく。

普通の公共バス、80元のバスはしかし遅く、休憩を5回もいれやがり、結局到着したのは6時間後の4時。しかし風景は素晴らしく、バスの大きな窓から堪能できた。心配していた検問は数箇所あったものの、検査は運転手のみで乗客は無し。

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しかし、ボンノウにまみれた私は左目で絶景を楽しみつつ、右目で車内TVが流していたテレビドラマの「怪侠 欧陽徳」というコメディが面白くて仕方がなく、目を離せないでいた。苦労してこんなとこまで来て何見てんの私ー!!! しかも話の途中でシガツェに到着したので香港に帰ったら大陸系のテレビドラマDVD屋を探そうとまで思っている私。つける薬がありません。

途中で休憩。絶景ではあるがトイレはないのでそのへんを探すことになる。いやあ、男はいいよな。しかし見てると(←見るなよ)座って小用を足している男性も多かった。イヤ純粋な好奇心ですスンマセン。

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どこまでも真っ直ぐな道。生まれてきてよかったなあ。

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はるかに望む山々。蓮華座のへりを見上げているような気分になる。

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途中で霰が降った。いやー、あられってほんとにアラレにそっくりですね。(何を言っているのか) 関西育ちで寒い所は徹底的に避けてきた私は霰を見るのがこれが始めて。窓ガラスに当たってばしばし鳴るのよ。

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シガツェのバスターミナル到着。50mほど横にある適当な宿に入る。100元。ラサのように公安と直結しているシステムは無いらしい。香港身分証であっさり泊まれた、公安が来る心配もなさそうなリ。

とりあえず遅い昼飯。こぎれいなチベタンレストランに入り、大根とヤク肉の鍋を注文。48元と高かったが大当たり。花椒(山椒)が粒ごと入っていて香ばしかった。ご飯はおひつに入って2元/人。色のついたパラパラ芯ありごはんで、普段ならとても食べられたものではなかったが、どっから運ばれてきたんやろうこの子(←米)・・・と考えるだけで感慨深いので許す。スープをかけて食うとなかなかうまかったし。

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たらふく食べるともはや寺へ行く時間でもなく、街と市場をぶらつく。市場はおもしろかった。チベタン・ムスリム・漢族がそれぞれ三分の一ずつぐらい。チベタンへの漢語の通じがぐっと悪くなった。特に女性の場合は話せない人も多かった。

キツネの毛皮がどっさり吊られていました。

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毛皮を内側に張ったズボン。ぬくそう!

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チベット風の装飾のあるどっしりとしたストーブ。

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もう少し簡素なもの。

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三つ編みに編みこむ色糸。

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かっこいいブーツ。

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毛皮を巻いた帽子。

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ラサの女性はたいていこのすっきりと垢抜けた縞のエプロンをしていた。シガツェではもう少しヴィヴィッドな色合いの太めの縞で、光沢のない厚めの布地のものが多かった。これからラサ風のが流行るのかも。

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銅の金盥。

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チベット絨毯を貼ったクッション。

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細かな装飾の家具。

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香港から持ってきた化粧品では保湿が全く追いつかず、何かを探すことにする。解放前からあるんじゃないかと思われる天津のブランドの万紫千紅、そして上海ブランドの友誼。が2元、友誼が1元。友誼は夫の祖母が愛用していた。私も中国に住んでいた頃には使っていた。当時は原材料に「獣油」と書いてあり、そう書いてあるということは十中八九豚の油だと思うのだが、同じように友誼を愛用していたソマリア人のムスリムのルームメイトに、どうしてもそれを伝えられなかったことを思い出す。今回買った友誼には獣油とは書いてなかった。材料変更でもあったか。万紫千紅は「鉱物油」とあった。まあ、ワセリンとかもそうだよな。インドで見たことのあるクリームも買ってみた。6元。インドでは確か10ルピーだったはず。

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日がかげると急激に寒くなり、宿に戻ってお茶。水がいいらしく(周囲の雪山から流れ落ちる雪渓水だ)、お茶が大変うまい。私は西寧で買った雲南白毛、夫は青海産の枸杞を茶にして飲んでいた。

夫の発見。この宿、安い割りにいい温度のお湯がかなりいい水圧で出る。シャワーだ!シガツェの海抜は3800m、このくらいの海抜だと実は風呂に入るというのも結構たいした運動になりえるのだ。高山反応を引き起こしかねないので、私は今夜は大事をとってやめておき、明日にする。夫はいい湯だったとご機嫌。

だがいざ寝る段になって問題が発覚。窓の施錠が出来ません。壊れてんの。そしてすぐ隣のビルが工事中で足場を組んであり、角部屋の我々の部屋には多少身軽なら誰でもアクセス可能な状態になっていた。夫は窓に靴紐を結び、以下のようなトラップをこしらえた。窓が開くと陶器のカップが下に落ちる。

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落ちる位置にはステンレスのお盆をセットして、鋭く物音が立つようにしてある。

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実用半分趣味半分。何事も楽しみませんとな。窓側のベッドはきみに譲った、相棒。ではおやすみなさい。