朝9時半のバスでAjantaへ。泊まるつもりだったAjanta石窟前のホテルが満室で、5キロ離れたFaldapurまで行かざるを得ず、時間のロスにちょっと不機嫌に。Faldapurで州経営のゲストハウス、大きなゆったりとした部屋に泊まる。インドで初めて見る、バスとトイレが別れている形式。200Rps。
さっそくAjantaへ。壁画はたいそう美しく、これもElora同様、感想を書き連ねても何もならん。
面白かった出来事がひとつ。
あまりの暑さに耐え切れず、珍しく清涼飲料水を買う。石窟前で冷やした飲料を売っている男に値段を訊ねると、12Rps。店売りは普通8~10Rps、レストランでは10~12Rpsぐらいなので、観光地であるし別に異議はなく一本買買った。すると、私達のそばに座っていた年配の男性が何やら怒りだした。この人は富裕層のインド人には見えなかったが、アイロンの当たった清潔なシャツを着ていて、ジェラルミンの小箱にビンロウに必要なものをきっちり用意していた。よく洗ってたたんである葉っぱ、中に入れるビンロウ、香料らしい粉類。小奇麗に整理して入れてあるのが珍しい。一般に、ビンロウを愛用しているのは低所得者階級、肉体労働者か農民で、ビンロウの用意も適当にポケットや頭陀袋に突っ込んであるだけのことが多い。ビンロウ氏は飲料品売りを何やら叱りつけている。まさかと思ったけど、周囲に小声で確かめると、やはり「外国人相手に不当な小売をするな!」と怒っているのだった。
私達も市価よりはちょびっと高いことは知りつつ、しかしこんなとこまで箱に商品と氷を入れて登ってきて売っているのだから、ささやかな上乗せは当然ではないか。インドにはいろんなひとがいる、と思った日であった。