ナガルコットに行こうと思ったが、ガスっているのか霧なのかスモッグなのか、ヒマーラヤどころかカトマンドゥ盆地を取り巻く山ですら見えないという天気の悪さ。快晴は快晴なのだが、空気が悪いのだ。というわけで、今日はBoudhanatへ行くことにした。
セントラルバススタンドへ行く途中に、大量の山羊に出くわす。それ自体はそれほど珍しくもない風景だが、群れから脱走した一匹を追う牧人が全力疾走のままためらいもなく見事な飛び蹴りで羊を止めたのが見ものだった。
ボダナートは牛だらけ。チベット人にとっての聖地であるらしく、チベタンでいっぱいだった。五体投地をしている人が大勢いた。西洋人はなぜチベット仏教があんなに好きなのだろう。ムスリムの一日五回のお祈りをファナティックだとかいうくせに、五体投地を見て敬虔さに感動したりするのは不公平だ。そのへんのところをよく了承した上で白人を味方につける作戦を取り続けている猊下はやはりうまい。
「私は観音菩薩の生まれ変わりです」という人が管理する国に住むのは私はツライが、まあわが祖国だって「私の祖先は神様で、何だったら私も神様です」という人を国の象徴として頂いているわけだしな。他人様のことは言えん。
ボダナートではラマの格好の外人をたくさん見たが、私の正直な感想は「お調子者」であった。