チェックアウト。今晩泊まるなら270元でどうだ?と言われ、真剣にむっとする。国営のころも承包になっても、やりかたが気に触る連中だ。
相棒について杭州見物。大仏のある寺。しかしバスに乗ると雨。降りても雨。寒いよう。ジャケットを着込んでいるが、ゴアテックスではないのでレインコートにはならない。なのにどしゃぶり。相棒は完全防水のウィンドブレーカーを着ており、そりゃアンタはいいだろうけどさあ。
雨が止むかと期待して、精進料理を食べてみる。寒いので麻辛豆腐、たけのこと湯葉の炒めもの、干し椎茸と菜心、純菜のスープ。形容動詞「じゅんさいだ」の語源になっ食材を、始めて食べた。ぬるぬるしてすっぱくて、なかなかあおいしかった。
食べおわったが雨はやまぬ。仕方が無い。大仏を拝んでからバスで岳廟へ。
宋代の英雄岳飛をまつってある廟で、それはべつにいいのだが、共産党のプロバガンダのにおいがプンプンする。「亡国の危機に立ち上がった愛国精神の英雄は、国家のためには自分の命をも顧みなかった」あたりはいいのだが、「岳飛の愛国精神は共産主義者たちに大きな影響を与えた」に至っては失笑モノ。
岳飛を讒言した宰相およびその妻の石像があり、かつては参拝者が石でぶんなぐったり、棒でたたおたり、つばをはきかけたりするので有名だった。現在は柵で囲まれ、禁止されている。
気になったのが宋を圧迫した金王朝に対する評価で、完全に「不当な侵略」扱い。そりゃ侵略は侵略でしょうけど、金が悪魔の手先みたいな書き方はどうかと思いますぜ。中華人民共和国においては満族だって「中国人」というのが建前ではなかったのか中国人。
宋朝は五代の混乱を押さえて唐以来の統一を果たした王朝であり、「統一」ってのが現在の中国にとっては大きな政治的課題であることから、「政治的に」こう語っているのかという推測もできるが。清も近代史では悪者だしなあ。しかし、チベット。新彊まで中国の版図に組み入れたのは、清あってなのだがなあ。(つぶやいてもしょうがないっすね。)
相棒の意見では、岳飛が処刑されたのは皇帝が宰相を利用して権力を持ちすぎた家臣を排除したに過ぎない、ということである。重要なのはそこのところなのに、民衆は常に英雄を愛するから、宰相を悪者にして終わっちゃう。皇帝の罪を追求するメンタリティって、中国人にはないのかもしんない。毛沢東が今でも民衆には崇拝されていることを考えると。
白堤を散策する。
全長3キロほど、途中に公園や博物館まであり、なかなか整備の行き届いていた。説明に読み応えあり、陳列品に見ごたえあり、通路は時代別に整理されていて、規模も大きく、お勧めである。閉館時間がせまってきて、太平天国の部分をじっくり見られなかったのが残念。
ボートに乗らんかという客引きが大変多い。かわしつつ、堤を歩く。天気がよくなってきた。