漳州行きのバスもおんぼろだった。漳州は水仙で有名な街だが、もちろん今はその季節ではない。(花は暮れから旧正月にかけて)
非常にいい感じの旧市街があり、ゆっくり歩いて流すのはいい気分だ。この辺も廈門t同じで、人々は道端に小さな机と椅子を出して功夫茶を楽しんでいる。功夫茶とはお茶の飲みかたの一種で、小さな急須と湯飲みのセット(こげ茶の素焼きの物が多い)でちびちびお茶を飲みながら、おしゃべりを楽しみ、ゆっくり時を過ごすもの。広東の「飲茶」は点心に重点があって、むしろ茶がオマケのような気もするが、こちらは純粋にお茶のみ。ほんの少ししか飲まないので、お茶はいいものを使う。
湯飲みは杯のように小さく、日本の杯ほど。たとえ一人でも二人でも、必ず3つ以上の湯飲みにお茶を入れる。一煎目は間髪入れずに捨て、冷たくなったお茶も惜しげもなく受け盆に捨てる。
駄菓子屋の店先に並んでいたお面。孫悟空が二つも有るのが中国っぽいし、ミッキーマウスと包青天が並んでいるのが時代を感じさせる。
漳州の輪タクの運転手(というか漕ぎ手)はみなレモンイエローのベストを着ている。聞くと、2着で70元。着用を義務付けられているのだそうだ。70元って、大金である。だって1キロ漕いで2元とかそこらなのに。
車はすべて政府からの借り物で、借り賃は月100元。(ちなみに中国では200元もあれば新品の自転車が買えるはず。) ベストを借りて自転車の借り賃払ったら、手元にはなんぼほど残るのだろう?
老舎の描いた「駱駝祥子」の世界そのままである。資本家が共産党に替わっているだけ。
バスで廈門に帰った。