***このブログについて***

書き続けている日記のうち、旅行記をここにまとめておきます。右サイドメニューの「その他の旅行」から各旅行の目次に飛べます。サイドメニューの下のほうの「痩公胖婆400天渡蜜記」は、一年と少し(1996/03/31 - 1997/06/01)にわたった新婚旅行の記録の目次です。気が向いたときにぼちぼちあげています。

1996年5月7日火曜日

1斤7両の鯉が17元・清蒸

起床、8時。大雨である。川辺のこましなレストランでごはん、甲天下餐庁という店である。オーナーは台湾人。あまりはやってません。朝ご飯セットが50元、ぶっかけごはんが15元、我々はもちろん後者をとったが、それでも高いなあ。

帰って12時半、また寝てしまった。頭痛がするので上呼吸器感染とやら再発か?と、残っていた薬を飲んだら(文明人のすることではない)、何かに引き込まれるように眠りに落ちたのであった。起きたら3 時。

相棒が1斤7両の鯉を17元で買ってきた。下の飯屋で紅焼を頼むも、出てきてみたら清蒸になっててびっくり。どういうこっちゃい。清蒸でもそれほど臭みがないところが離江鯉魚のスゴイところだが、海っぱた育ちの相棒は、それでも海魚しか清蒸にはできんという。私もそう思う。鯉の清蒸は失敗であった。一食損した気分で一休み。いつのまにか雨は上がっている。

午後をうだうだと過ごす。荷物を整理し、本を読み、日記をつけた。

夜8時ごろ、軽く何か食べようと言う話になり、William's cafeとやらに入る。店は白木づくり、おおかた常連になった外人の指導であろう、なかなか趣味の良いつくりである。注文したオレンジジュースは高いほうのオレンジを使ってあるおいしいやつだった。相棒のジャスミンティーは素焼きの急須、小花模様の部分にだけうわぐすりをかけてある凝ったもので、風情があった。

奥から、中国人男性にもかかわらず、珍しく24金以外のアクセサリー(木のチョーカーと象の骨のブレスレット)をつけた男が現われ、何者じゃいと思っていると、店のオーナーであった。

店にはなにやら不思議なプリミティブ水墨画がたくさんかけてある。全部同一作者だ。よく見ると5歳半とか6歳とか、署名の横に書いてあるのであった。読めた。オーナーの息子なのだ。にゃるほどう。これが売りなのだな。この店は正式名をWilliam's "Art" Cafeといい、中文名は「芸友酒店」。奥は画廊になっていて、近隣の水墨画家の絵を展示販売しているそうな。

座っていると、することが無くなったらしいウェイトレスが琴を弾き出した。けっして上手くはないのだが、いい風情である。他の店では外人向けに大ボリュームでうるさい音楽をかけまくっているので、ことのほかこの静けさがヨロシイ。店の感じといい、東門のむげんどうを思い出すなあ。

ところで店には我々のほかにアジア人と白人の男性二人連れがおり、このふたりがまた西原理恵子ならホモセンサーのメーターが振りきれてしまうぐらい雰囲気丸だしなのであった。それだけなら別にどうでもいいことだが、アジア人のほうが中学時代の恩師M先生に見れば見るほどそっくりで、しかしM先生といえば大学時代にはボクシング部に所属、対近大戦の秘密兵器と言われたほどのハードパンチャーなので、その落差がおかしくてどうしても笑ってしまう。

彼らはうっふんいちゃいちゃという感じで茶を飲んでいる。我々としてもなんだか気まずい。

私は店から、オーナーの息子の個展のリーフレットを持って帰ってきたが、相棒は「捨ててしまえ」とむべもない。聞くと、オーナーがさっきの外人カップルに子供の絵を600元で売ろうとして失敗したのを見てなかったのか、だと。ふんがあ、そんなことがあったのかい。