昨日よりもっとひどい破車で、座席は砂だらけ。彼は勇ましいうなり声をあげて、急な坂道に突っ込んでゆくのだが、悲しいかな馬力が全く足りず、時速5キロ出てる〜? ぐらいの人より遅い速度で、数ある山をやっとこさ越えてゆくのであった。
濾古湖へは70キロを5時間かかった。
湖は想像していたよりずっとずっと美しく、私は満足だ。海抜2,690m、透明度は11mである。かすかに打ち寄せる湖畔の水はうす青く透き通っていて、小魚たちが泳いでいるのがはっきり見える。大理の湖で泳いでみたいとは思わなかったけど、ここでなら泳いでみたい。子供たちが素っ裸で泳いでいた。
対岸は四川省である。
濾古湖周辺には摩峻族という納西族の支族が住んでいて、母系性社会を保持していることで有名である。完全な通い婚が残っていて、男性は夜だけ女性のもとに通うという。子どもはすべて母親に養われ、財産は女性から女児へと引き継がれる。摩峻語には「父」に相当する語がなく、母親の本に通ってくる男性(単数とは限らない)はすべて「叔父さん」に相当する語で呼ばれる。
彼らの言語は納西語と近縁関係にあるが、納西語ほどは漢化していない。摩峻語の表記にはチベット文字が使われる。宗教としてはチベット仏教を信仰しており、バター茶を飲む・タルチョをあちこちで見かける・石を積んだ塔が村の周辺に多いなど、かなりチベット文化圏に属するという印象が有る。
ただし、女性たちの服装はチベット族とは大きく異なっていて、むしろイ族に近い。頭にはターバンを巻き、数珠状のかざりと大きな房を片側に垂らしている。チベット風のえりの上着に、縞模様の帯を巻き、ひだの入ったロングスカートをはいているところはイ族と同じである。ただし、スカートの切り替えは一ヶ所のみで、色も白ばかり。切り替え部分には赤い線が入っている。脇の下まで届くような長い長いイヤリングも、イ族とは異なっている。
***このブログについて***
書き続けている日記のうち、旅行記をここにまとめておきます。右サイドメニューの「その他の旅行」から各旅行の目次に飛べます。サイドメニューの下のほうの「痩公胖婆400天渡蜜記」は、一年と少し(1996/03/31 - 1997/06/01)にわたった新婚旅行の記録の目次です。気が向いたときにぼちぼちあげています。